kim hyunseok




犬について



小学校の時、どういう成り行きだったのかは記憶にないが、白い子犬を飼うことになった。家の裏にある小さい庭には白い子犬がいた。子犬の家があったのか、リードを付けていたのかは記憶にない。時々母が飯をあげていた気はする。名前はチャングだった。当時放映されていたクレヨンしんちゃんの主人公、しんのすけの韓国の名前。僕はチャングを可愛がっていた。一緒に散歩をしたのか、ボール遊びをしたのかなどは記憶にない。家の裏、庭にはチャングがいた。

ある日、チャングの姿が見えなくなった。チャングを探しに出かけた記憶はない。母に聞いてみた。チャングはどこにいるの?母は最初は知らないと言っていた気がする。田舎にいる祖母の家に戻ったと言った。僕はどうして?と聞いた気がする。母は話を紛らしながら祖母と一緒に過ごしていると言った気がする。僕はまたどうして?と聞いた気がする。母は仕方なく祖母の体が悪くなって、チャングを食べたという話をやんわりと説明した。どういう言い方をしたのかは記憶にない。

僕はその日悲しかったのか記憶にない、悲しかったような気もするが、本当にそうだったのかはわからない。





犬について 2



中学生の時、家から遠くないところにある塾に通っていた。値段は月2万5千円だった気がする。国語、英語、数学を教えてくれた。数学は男の先生で、斜視だった。国語は若い女の先生で美人だった。英語の先生は中国から来たような発音をする若い女の先生だった。先生たちはみんな生徒のことが好きで、僕も先生たちが好きだった。

塾は一般的な3階建ての建物で、1階と2階は塾で、3階は塾長とその家族が暮らしているようだった。塾の生徒の数は多くなかったので、僕は大体みんなと仲良く過ごせたようだった。

塾ではあまり長くない期間、子犬がいた。小さい白い子犬。たいてい廊下や階段の下で虫を追いかけたり、寝ていた。僕はその子犬が好きだった。休み時間になると子犬を探し、頭と腹を撫でていた。いつからかはわからないが、僕は塾で一番仲がよかった友達と一緒にこっそり子犬を虐めるようになった。拳であごを打ったり、性器を触ったりした。強くも弱くもなく、程良く虐めようとした気がする。子犬はたまに泣き声をしたが、すぐまた僕のところに懐いてきた。

どうして子犬を虐めたか、動機が思い浮かばない。